特殊詐欺は高齢者だけの問題だと思われがちですが、ニセ警察詐欺では20〜40代のスマホ利用者も無関係ではありません。警察を名乗る電話やビデオ通話、SNS・SMSで不安をあおり、口座情報や送金を求める手口に注意が必要です。
- 令和8年4月1日からのニセ警察詐欺の分類変更と最新統計
- 電話・ビデオ通話・偽警察サイト・番号偽装の見分け方
- iPhone・Androidでできる不審電話対策と#9110相談の使い方
本記事では、ニセ警察詐欺の令和8年統計とスマホ対策について、電話・ビデオ通話・偽サイト・番号偽装への注意点を整理します。(専門知識は不要です!)
⚠️ 最初に覚えておきたい合言葉
警察を名乗る相手から、暗証番号・口座情報・資産状況・送金・ビデオ通話・偽サイトへの入力を求められたら、会話を続けず、いったん切って公式窓口に確認してください。番号表示や肩書きだけで信用しないことが大切です。
令和8年版:ニセ警察詐欺はなぜ若者にも危険なのか
ニセ警察詐欺は、警察官を名乗って不安をあおり、金銭や個人情報をだまし取ろうとする手口です。以前は「警察官をかたる詐欺」として説明されることが多くありましたが、令和8年4月1日から、警察庁は手口分類を変更し、「警察官かたり」を「ニセ警察詐欺」として独立して扱うようになりました。また、SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺も特殊詐欺の一手口として加えられています。
この分類変更は、被害の実態をより分かりやすく把握するためのものです。読者側から見ると、「警察を名乗る電話」「LINEやビデオ通話への誘導」「偽の警察手帳や逮捕状」「口座調査や資産保護を名目にした送金要求」などを、ニセ警察詐欺としてまとめて警戒しやすくなったと考えると分かりやすいでしょう。
警察庁・SOS47が公表している令和8年3月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等では、特殊詐欺全体の認知件数は11,093件、被害額は937.9億円とされています。その中で、ニセ警察詐欺は認知件数2,204件、被害額222.4億円と公表されています。
特殊詐欺全体
認知件数: 11,093件
被害額: 937.9億円
令和8年3月末時点の暫定値です。
ニセ警察詐欺
認知件数: 2,204件
被害額: 222.4億円
当初接触ツールは電話が9割以上とされています。
ここで重要なのは、ニセ警察詐欺が「固定電話に出る高齢者だけの問題」ではないことです。警察庁・SOS47の資料では、最近のニセ警察詐欺について、当初接触ツールは電話が2,168件で全体の9割以上を占めるとされています。携帯電話に直接かかってくるケースもあるため、スマホを中心に生活している20〜40代でも注意が必要です。
国民生活センターも、警察を名乗る不審な電話について20歳代〜50歳代からの相談が寄せられていると注意喚起しています。つまり、ニセ警察詐欺は「高齢者だけが狙われる詐欺」ではなく、スマホやネットバンキングを日常的に使う世代にも起こり得る問題です。
若い世代が狙われる理由は、判断力が低いからではありません。スマホで本人確認をする、ネットバンキングを使う、SNSやビデオ通話に慣れているといった生活導線に、詐欺の流れが入り込みやすくなっているためです。
ニセ警察詐欺の典型的な流れ|電話からビデオ通話・偽サイトへ誘導される
ニセ警察詐欺では、最初から「警察です」と名乗る場合もありますが、電話会社や総務省などを名乗る電話から始まり、その後に警察官役へ交代する流れもあります。警察庁・SOS47のニセ警察詐欺に関する注意喚起でも、電話会社や総務省等を名乗ったあとに警察官役へ交代するケース、SNSやビデオ通話へ移行するケースが紹介されています。
「あなたの口座・携帯電話が犯罪に使われた」と不安をあおる
よくある入り口は、「あなた名義の口座が犯罪に使われている」「あなたの携帯電話が不正に契約された」「マネーロンダリングに関与している疑いがある」といった説明です。読者側に心当たりがなくても、警察や公的機関の名前を出されると、冷静に否定しにくくなります。
この段階で相手は、緊急性や秘密性を強調します。「このままだと逮捕される」「家族や職場に言うと捜査に支障が出る」「今すぐ確認が必要」などと言われると、誰にも相談できないまま会話を続けてしまいやすくなります。
電話会社・総務省などを名乗ってから警察官役に交代する
近年の手口では、最初に電話会社や総務省などを名乗り、「未納料金がある」「電話が使えなくなる」といった不安を与えたあと、警察官役に電話をつなぐ流れもあります。自動音声ガイダンスで「1番を押してください」と誘導されるケースもあるため、機械音声だから安全とはいえません。
このような流れでは、最初の名乗りが警察ではなくても、最終的に警察官・検察官・銀行職員などを名乗る人物が登場し、口座確認や資産保護を理由に操作を求めてくる場合があります。
ビデオ通話・偽警察サイト・偽の逮捕状で信用させる
警察庁・SOS47は、ニセ警察官とのビデオ通話、警察本部や警察署等の代表電話番号を偽装表示する手口、ニセの警察ウェブサイトに誘導する手口についても注意を呼びかけています。
ビデオ通話で警察手帳のような画像を見せられたり、逮捕状のような画像を送られたりすると、本物に見えてしまうかもしれません。しかし、画像や画面は作成・偽装できます。警察を名乗る相手からメッセージアプリ、ビデオ通話、偽サイトへの入力を求められた時点で、強く警戒してください。
本物の警察か見分ける判断基準|番号表示や肩書きだけで信用しない
警察を名乗る連絡が来たときに大切なのは、相手の話し方や番号表示だけで判断しないことです。番号がそれらしく見えても、制服や警察手帳の画像を見せられても、それだけで本物とはいえません。
警察が通常しない連絡方法を先に覚える
警察庁・SOS47や国民生活センターは、警察を名乗る電話からLINEなどのメッセージアプリやビデオ通話へ誘導される手口に注意を呼びかけています。警察がSNSやビデオ通話で連絡したり、警察手帳・逮捕状の画像を送ったり、電話だけで資金調査や送金を求めたりすることはありません。
⚠️ 警察を名乗っていても危険なサイン
電話やSNSで、暗証番号、口座残高、資産状況、送金、ネットバンキング操作、認証番号、偽サイトへの入力を求められた場合は、相手が警察や銀行を名乗っていても会話を続けないでください。
末尾0110や実在番号に見えても判断材料にしない
「末尾が0110だから警察署だろう」と考えるのは危険です。警察庁・SOS47は、実在する警察本部や警察署等の電話番号を偽装して表示させる手口を確認したと公表しています。「+」から始まる国際電話番号で末尾が0110に見えるケースもあり、番号表示だけで本物とは判断できません。
番号偽装の考え方を詳しく知りたい場合は、関連記事の電話番号偽装詐欺の仕組みと対策も参考になります。
所属・氏名を聞いたら、相手の番号ではなく自分で調べた窓口へ確認する
相手が本物かもしれないと感じても、その場で指示に従う必要はありません。まず、相手の所属、担当部署、氏名、用件を聞き、いったん電話を切ります。そのうえで、相手から教えられた番号ではなく、自分で公式サイトや最寄りの警察署の番号を調べて確認してください。
ここで重要なのは、相手が言った番号や、着信履歴に表示された番号へそのまま折り返さないことです。偽装表示や偽サイト誘導がある以上、確認先は自分で調べることが基本です。
スマホでできる対策|着信を減らし、詐欺の入口をふさぐ
ニセ警察詐欺は、出てしまったあとに不安をあおり、判断を急がせる手口です。そのため、出てから見分けるだけでなく、そもそも不審な電話に触れにくくする設定も大切です。
iPhoneは不明な発信者のスクリーニング・消音を確認する
Appleは、iPhoneで不明な発信者を管理する方法として、不明な発信者をスクリーニングする、消音にする、不明な発信者をフィルタリングする、迷惑電話を消音にする方法を案内しています。詳しい設定はApple公式サポートの「iPhoneで不明な発信者を管理する」で確認できます。
- 「設定」を開く
- 「アプリ」から「電話」または「FaceTime」を開く
- 保存されていない番号からの着信を管理する項目を確認する
- 必要に応じて、不明な発信者の消音やスクリーニングを有効にする
ただし、仕事、配送、病院、学校などから知らない番号で連絡が来ることもあります。必要な番号は連絡先に登録し、消音設定を使う場合も留守番電話や着信履歴を確認する運用にしておくと安心です。
Androidは発信者番号・迷惑電話対策を確認する
Androidでは、利用している機種や電話アプリによって表示名が異なります。Google電話アプリでは、発信者番号と迷惑電話対策の機能をオンにすると、連絡先に登録していない相手の名前や会社名を表示したり、迷惑電話の疑いがある場合に警告を表示したりできます。詳細はGoogle電話アプリ ヘルプで確認できます。
- 電話アプリを開く
- 設定から「発信者番号」「迷惑電話」「スパム」などの項目を探す
- 発信者番号と迷惑電話対策を有効にする
- 利用できる場合は、スパムの疑いがある通話のフィルタも確認する
Androidは機種差が大きいため、表示される項目が公式ヘルプと完全に同じとは限りません。見つからない場合は、スマホメーカーや利用中の電話アプリの公式案内も確認してください。
警察庁推奨アプリや国際電話ブロックも選択肢にする
警察庁・SOS47は、特殊詐欺の犯人からの電話を直接受けないために、国際電話番号などをアプリでブロックする対策を案内しています。警察庁推奨アプリでは、国際電話番号の発着信ブロック・警告、特殊詐欺等の犯行に利用された番号のブロック・警告、防犯情報のお知らせなどが紹介されています。
アプリを入れれば完全に防げるわけではありません。番号を変える、SNSへ移る、偽サイトへ誘導するなど、犯人側も手口を変えてきます。設定やアプリは「入口を減らす対策」と考え、会話内容で判断するルールも必ずセットにしてください。
口座や個人情報を聞かれたときの対処法|切る・保存する・確認する
実際に警察を名乗る電話やメッセージを受けたら、長く説明を聞くよりも、まず会話を止めることを優先してください。相手は不安や緊急性を使って、冷静な判断を奪おうとします。
まず会話を止め、通話・メッセージ・URLを保存する
「あなたの口座が犯罪に使われた」「このままだと逮捕される」と言われても、その場で説明を続ける必要はありません。電話を切る、ビデオ通話を終了する、SNSやSMSへの返信を止めることが先です。
- 通話やビデオ通話をいったん終了する
- 着信番号、通話履歴、相手の名乗り、メッセージを保存する
- 送られたURL、画像、偽サイト画面のスクリーンショットを残す
- 自分で調べた公式窓口に連絡して確認する
保存した情報は、警察や金融機関へ相談するときの説明材料になります。ただし、送られたURLを何度も開いたり、指示されたアプリを入れたりする必要はありません。
緊急性が高いときは110番、迷う段階なら#9110
今まさに送金を迫られている、脅されている、自宅や職場に来ると言われている、相手の指示で操作を進めそうになっている場合は、緊急性が高い可能性があります。そのような場合は110番を検討してください。
一方で、緊急ではないものの「詐欺かもしれない」「警察に相談してよいか分からない」と迷う段階では、警察相談専用電話の#9110が候補になります。政府広報オンラインでは、犯罪や事故に当たるのか分からないが警察に相談したいことがあるときは警察相談専用電話 #9110を利用できると案内しています。
110番と#9110の違いを詳しく整理したい場合は、関連記事の#9110と110番の使い分けも参考になります。
迷ったときの相談先チェック
- 今まさに危険がある、送金が進みそう、脅されている場合は110番を検討する
- 緊急ではないが詐欺か判断に迷う場合は#9110に相談する
- 口座情報や認証情報を伝えた場合は、利用中の金融機関にも連絡する
- 偽サイトにログイン情報を入力した場合は、パスワード変更や利用停止も検討する
口座情報・認証情報を伝えた場合は金融機関にも連絡する
すでに氏名、住所、口座番号、ログインID、パスワード、ワンタイムパスワード、認証番号などを伝えてしまった場合も、そこで終わりではありません。被害拡大を防ぐため、できるだけ早く金融機関や利用サービスの公式窓口に連絡してください。
このときも、相手から送られたURLや電話番号ではなく、カード裏面、公式アプリ、公式サイトなど、自分で確認した窓口を使います。ネットバンキングやクレジットカードに関わる情報を入力した場合は、利用停止、パスワード変更、取引確認などが必要になることがあります。
家族で共有したい防犯ルール|自分と親世代で対策を分ける
ニセ警察詐欺への対策は、知識を覚えるだけでは不十分です。実際に電話が来たときに、迷わず動けるルールを決めておくことが大切です。
20〜40代は「スマホ・SNS・ネットバンキング」を重点対策にする
20〜40代の場合、固定電話よりもスマホ、SNS、ネットバンキングが入口になりやすい点に注意が必要です。警察や銀行を名乗る電話でお金の話が出たら、その場で返事をしないと決めておくだけでも、被害防止につながります。
- 知らない番号にはすぐ出ず、留守番電話や着信履歴を確認する
- 警察や銀行を名乗られても、口座・暗証番号・資産状況は話さない
- SNS・ビデオ通話・偽サイトへの誘導には応じない
- ネットバンキングの操作や認証番号入力を電話中に行わない
高齢の親には固定電話・国際電話・家族の合言葉を確認する
親世代の対策では、固定電話に出ない工夫、国際電話への対策、家族間の合言葉づくりも重要です。家族で話すときは、「詐欺に気をつけて」と抽象的に伝えるより、「警察を名乗っても、送金や口座の話が出たら必ず家族に確認する」と具体的に決める方が実践しやすくなります。
高齢の親を守る電話対策を詳しく確認したい場合は、関連記事の高齢の親を守る電話の防犯設定も参考にしてください。
家族で「相談先リスト」を決めておく
詐欺電話は突然来ます。だからこそ、平時に相談先リストを決めておくと、焦ったときに動きやすくなります。スマホのメモ、冷蔵庫、家族共有ノートなど、すぐ見える場所に置いておくと便利です。
- 緊急時の110番
- 緊急ではない警察相談の#9110
- 最寄りの警察署の公式番号
- 利用中の銀行・クレジットカード会社の公式窓口
- 迷ったときに連絡する家族・親族・信頼できる人
大切なのは、詐欺かどうかを一人で判断しないことです。相手が「誰にも言うな」と言った場合ほど、家族や公式窓口に確認する必要があります。
よくある質問(FAQ)
警察がLINEやビデオ通話で連絡してくることはありますか?
警察庁・SOS47や国民生活センターは、警察を名乗る相手がLINEなどのメッセージアプリやビデオ通話へ誘導する手口に注意を呼びかけています。警察を名乗る相手からLINE、ビデオ通話、偽サイトへ誘導された場合は、その場で応じず、いったん切って公式窓口へ確認してください。
末尾が0110の番号なら本物ですか?
番号表示だけでは本物と判断できません。警察庁・SOS47は、実在する警察本部や警察署等の電話番号を偽装表示する手口を確認したと公表しています。末尾0110や実在番号に見えても、相手から教えられた番号ではなく、自分で調べた公式窓口へ確認してください。
偽の警察サイトに入力してしまった場合はどうすればいいですか?
入力した内容に応じて、警察相談、金融機関、利用サービスの公式窓口へ連絡してください。ログインID、パスワード、認証番号、口座情報などを入力した場合は、パスワード変更、利用停止、取引確認などを早めに検討します。
110番と#9110はどう使い分ければよいですか?
今まさに危険がある、脅されている、送金が進みそうなど緊急性が高い場合は110番を検討します。緊急ではないものの、詐欺かどうか判断に迷う、警察に相談したいという段階では#9110が候補になります。
警察庁推奨アプリを入れれば完全に防げますか?
完全に防げるわけではありません。警察庁推奨アプリは、不審な電話に触れにくくする有効な対策の一つですが、SNS誘導、ビデオ通話、偽サイト、番号偽装などの手口もあります。アプリやスマホ設定に加えて、会話を切る、保存する、公式窓口へ確認する行動ルールも必要です。
まとめ:ニセ警察詐欺は若者も危険
この記事では、令和8年統計をもとに、ニセ警察詐欺の手口とスマホ対策を整理しました。
- 令和8年4月1日からニセ警察詐欺は独立した手口として扱われています:警察庁の資料では、「警察官かたり」を「ニセ警察詐欺」として独立して分類することが示されています。
既存の「高齢者中心」というイメージだけではなく、スマホ利用者も自分ごととして考える必要があります。
- 番号表示や肩書きだけで信用しないことが重要です:末尾0110、実在番号、警察手帳画像、逮捕状画像、ビデオ通話などは、それだけでは信用材料になりません。
警察を名乗る相手から口座・暗証番号・送金・資産情報を求められたら、まず会話を止めてください。
- スマホ設定と行動ルールを組み合わせることが大切です:iPhoneやAndroidの迷惑電話対策、警察庁推奨アプリ、家族の相談ルールを組み合わせると、詐欺の入口を減らしやすくなります。
設定だけに頼らず、「切る・保存する・確認する」を普段から決めておきましょう。
- 迷ったら一人で判断しないことが防犯につながります:緊急性が高い場合は110番、緊急ではない相談は#9110、口座や認証情報を伝えた場合は金融機関にも確認してください。
相手が「誰にも言わないで」と言った場合ほど、家族や公式窓口に相談することが大切です。
警察を名乗る連絡が来たときは、相手の肩書きや番号表示ではなく、要求内容で判断することが大切です。少しでも不安があれば、会話を続けず、公式窓口や#9110へ確認してください。





